『たんぽぽ団地のひみつ』は特別支援教育マインドにあふれています

今疲れてちょっと立ち止まっている人、心折れそうな人、特別支援教育やレジリエンス教育に携わっている人におすすめします。この本のタイトルは、新聞での連載から単行本までは『たんぽぽ団地』というタイトルでしたが、文庫本化にあたりタイトルを『たんぽぽ団地のひみつ』と変更したそうです。

内容は、重松ファンタジー全開で、『流星ワゴン』の系統です。ですので、好みは分かれるかもしれんせんね。それでも、やはり、重松清氏の本『たんぽぽ団地のひみつ』はおすすめですという理由を書きました。

本のタイトルと著者

タイトル 『たんぽぽ団地のひみつ』

著 者 重松 清

出版社 新潮文庫

発行年 2018/7/1

定 価 710円

*タイトルは単行本『たんぽぽ団地』を改題したものです

この本おすすめする理由

この本をおすすめする理由はこの本は、特別支援教育マインドあふれる内容だからです。

重松氏自身が特別支援教育マインドにあふれた人なのだと思います。この本の「おわり」では、自信の小学校の卒業文集で将来のなりたい職業に作家と教師と書いていたそうなので、まさにその素質があったのだと思います。

重松氏の作品には、絶対に悪者は登場しません。例えば今回もいじめっ子が登場しますが、彼についても、彼の本心をが語られる場面があります。

やる前から諦めるなよ。「どうせ」なんて言うなよ。やってみりゃいいじゃんかよ。やってだめだったらそれから決めればいいんだよ

やる前に「どうせ」と言って諦めてしまういじめられる子供の姿にイライラする気持ちを吐露しています。

重松清氏の著作には、映画の是枝監督の作品に通じるものを感じます。

現代社会をよく見つめ、その本質をしっかりととらえているからです。

理想ばかり語っているわけではありません。現代社会をよく見つめ、その本質をしっかりととらえています。いじめについて語る場面があります。現代のいじめは、「いじめに見えない、巧妙でずるいいじめ」と現代のいじめの実態を語っています。

こういう現実に子どもたちがいて、毎日神経をすり減らしている子どもたちの現実を誰よりも感じているのだと思います。

まとめ

重松清の『たんぽぽ団地のひみつ』をおすすめしてきました。
その理由は、

  • 特別支援教育マインドに触れられる
  • 人に優しくなれる

からです。著者や著書に対する批判として、登場人物に語らせるセリフが「うざい」とか「わざとらしい」などといった意見があります。また、設定が現実的でないとかファンタジーすぎるとかの意見もあります。確かに、この「たんぽぽ団地のひみつ」は場面転換がわかにくかったり、読んでいても、ところどころ「?」マークの付くところがあります。これまでの本よりも読みにくさがあります。

それでも、僕が重松清の著書をおすすめする理由は、特別支援教育マインドにあふれて、それを感じることで、読み終えると人にやさしくなれる気がするからです。

現代は、構造的な矛盾の中で生きにくさを感じている人たちが多い時代です。本意ではなくてもぎすぎすした人との関係の中では、自分を守ることで精いっぱいになって、時には後悔したり心残りのことがたくさん積み重なってしまいます。でも、この本では、後悔や心残りするようなことをしてしまっても、それで終わりでないこと、それで終わってはならないことを教えてくれます。

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