発達障害と少年犯罪の関係は無い!賛否の議論を呼んだ番組の書籍化!『発達障害と少年犯罪』

6月9日に起きた東海道新幹線での殺傷事件が起きたとき、研究所通信で、報道は発達障害と犯行の関係をことさらに取り上げるだろうと書きました。予想通り、発達障害と犯行を結びつけるような報道が過熱しました。

特に、某テレビ局の夜の報道番組。ことさらに司会者が容疑者が発達障害だったことを強調していて、あまりの執拗さに聞いているだけで辛くなりました。また、毎日新聞デジタルサイトでは記事のタイトル「容疑者自閉症?」が不適切との批判が相次ぎ、翌日謝罪する事態を起こしています。

発達障害と犯罪は直接の関係はないことは明らかですが、このような報道が後を絶ちません。

今日は発達障害と少年犯罪を考えるためにとても良い本が出版されましたので紹介します。レジリエンス研究の観点からもとても興味深く読みました。

本のタイトルと著者

タイトル:『発達障害と少年犯罪」

著 者:田淵俊彦・NNNドキュメント取材班

出版社:新潮社 新潮新書

発 行:2018年5月20日

定 価:800円(税別)

なぜ賛否の議論を呼んだ番組を『発達障害と少年犯罪』として書籍化したのか

本書『発達障害と少年犯罪』は2016年に日本テレビで放送されたNNNドキュメン「障害プラスα~自閉症スペクトラムと少年犯罪の間に~」を書籍としてまとめ直したものです。

著者は書籍としてまとめ直した意図を、次のように「はじめに」で書いています。

テレビは初期インパクトは強いが、情報量は少ない。それがテレビのいい面であり、同時に弱点でもある。だからこそ、放送時、番組の中で描き切れなかった事柄、語り尽くせなかった真実を改めて紐解き、考え直し、書籍としてまとめることは、当時、番組に対してさまざまな意見を述べてくれた人々への恩返しにもなるのではないか。私はしばらく経ってそう思い始めていた。

そして、著者のその思いを突き動かすような事件が起きました。2017年11月26日、札幌市の路上で起きた12歳の中学生が20代の女性を包丁で刺した事件です。

放送終了後、テレビ局やネット上での番組に対する賛否の議論が沸き起こりました。

発達障害当事者と家族からは賛同意見が多数あった一方で、「差別が助長される」「無神経な番組」「殺意さえ覚える」などの非難もありました。番組への非難の声に対して、「活字という形で詳しく述べることで、番組としては言葉足らずであったことも伝わるに違いない。」という著者の思いから、この札幌の事件は「もう待てない」という切羽詰待ったところまで追い込みました。それは医療少年院に入院している触法少年たちへインタビューした経験が加害者少年の姿に重なったからにほかなりません。

賛否の議論を呼んだ番組を書籍化した著者の思いとは

著者の番組制作とこの著書に対する本当の思いは何なのか。それは、著者が語る言葉から知ることができます。長くなりますが引用します。

少年による衝動的な暴力や殺人を語る時に、社会やメディアでは「家庭環境」や「学校教育」などにその原因を求めてきた。これは間違っていると断言できる。もちろん家庭環境や学校教育などの要因はあるだろう。だが、それだけではないし、それが主要因ではない。

それにもかかわらすそれに執着し、目を塞いでしまうことは、(略)不可解な少年事件の本当の原因から目をそらし、未来ある子どもを適切な治療によって救えなくする危険性をはらんでいる。(中略)当事者や彼らをサポートする者たちが動き出している。

今こそ、私たちは事実を知らなければならない。知らないことは罪だし、知っているのに知らない人にそれを伝えないのはもっと悪い。だから私は今、『発達障害」と「犯罪」との関係について詳しく本書で語ることにした。

誤解を避けるためにもう一度言う。発達障害がそのまま少年犯罪に結びつくわけではない。結びつく可能性があるとしたら何なのか。それを伝えたいのである。

『発達障害と少年犯罪』を読んでの感想

本書は、番組放送当時に非難を浴びた「無神経」「視聴率主義」「先入観」などの意見は全く当てはまらに事がわかる。実によく調べ、専門家の意見を聞き、当事者の話を聞いている。

本書に登場する専門家には、発達障害の子どもたちの研究と実践に長年にわたり携わってきた杉山登志郎さんや宮口浩治さんはじめ様々な現場で発達障害の子どもたちとかかわっている方たちで、貴重な体験を語っています。また、著者は医療少年院に入院している少年たちへも直接取材し、少年たちが犯した犯罪の背景を探っています。著者は、少年たちを取材したことで、改めて、「発達障害の先天的な特性だけでは非行に至らない」(p-143)と確認しています。

少年犯罪には、様々な要因があります。家庭環境(虐待など)、学校教育、ネット社会、孤立社会等々。しかし、それはどれも直接的な犯罪の原因ではありません。同じ要因の中にあっても非行に走る子どもと普通に生活する子供がいます。同じように苛烈な家庭環境にあっても犯罪とは無縁の子どもたちがいます。その違いは何なのか。(まさにレジリエンス研究です)

発達障害がそのまま少年犯罪に結びつくことはないと著者も断言しています。数ある要因の一つとして発達障害を取り上げたとき、犯罪に「結びつく可能性があるとしたら何なのか」を探ったのが本書といえます。また、「当事者や彼らをサポートする者たちが動き出している」状況も調査し、支援する体制や方法も本書では紹介しています。

本当に発達障害の子どもたちとその家族に真摯な態度で向き合い、「発達障害と少年犯罪」に取り組んだ著書だと思いました。

子どもに関係する全ての大人におすすめします。

 

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