『ルポ 消えた子どもたち~虐待・監禁の真相に迫る』
著者 NHKスペシャル「消えた子どもたち」取材班
NHK出版
2015年12月10日発行
子どもに関わる全ての大人におすすめします。
映画『誰も知らない』(2004年公開)を観たことがありますか?
1988年に起きた巣鴨子ども置き去り事件を題材として、是枝裕和監督が映像化した作品です。
当時国内外の映画賞を多数受賞し話題になりました。
まさに、「消えた子どもたち」を主人公とした映画で、俳優 柳楽優弥君の演技が光っていました。
その時の感想は、ものすごくリアル感を持って、このような子どもたちは、きっとたくさんいる!
今こうしている間も、夜の繁華街を彷徨っているに違いないということでした。
映画を観終わった後は、気持ちが重く沈んでいるのを感じました。
実際、今現在も毎日のように、子どもの虐待・監禁に関わるニュースが流されます。
この本は、リアルに「誰も知らない」子どもたちを取材したルポルタージュです。
ご覧になった方もいるかと思いますが、2014年12月に放送された取材記事をもとに大幅加筆されたものです。
取材では、1039人もの「消えた子どもたち」を明らかにしてきました。
しかし、ここから想像させるのは、この子たちの後ろにはまだたくさんの
「消えた子どもたち」いるだろうということです。
著者は
「消えた子ども」は、社会が、政治家が、官僚が、行政が、マスコミが、大人一人一人がその親も含め
て彼らの存在をネグレクトしてきたことで生まれた存在だろう。そして、おそらくこれからも拡大していく
闇だと私は思う。(p-214 「おわりに」より)
と語ります。
現代の貧困問題とも関連しますが、社会問題として捉えていくこととの必要性
を感じます。