子供の貧困の現状をルポ!「レールをこぼれた子供」の現場最前線をルポしたこの本がおすすめ!

今日は、絶対に多くの人に読んでほしいと思った本を紹介します。

『漂流児童 福祉施設の最前線をゆく』。

児童福祉の現場のルポルタージュです。子供の多様な貧困の現状を、最前線の現場に入り、直接現場で出会った人たちから話を聞いています。

関係者だけでなく「子供のより良い未来を願う」(本書Pー349)すべての人に読んでもらいたいと強く思います。

最前線の現状をルポルタージュした『漂流児童』はこんな本

著書名 『漂流児童 福祉施設の最前線をゆく』
著 者 石井 光太
出版社 潮出版社
発行年 2018.10
定 価 1.700円(税別)

 

 

 

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『漂流児童』がルポルタージュした子どもの福祉現場

第1章 子供の救出

  • 特別養子縁組
  • 母子生活支援施設
  • 児童自立支援施設
  • 児童養護施設

第2章 マイノリティー

  • フリースクール
  • 発達障害児のための塾
  • LGBT
  • 障害者入所施設

第3章 非行少年

  • 女子少年院
  • 医療少年院
  • 少年刑務所
  • 出所者の協力雇用主

第4章 貧困と教育

  • 子ども食堂
  • 夜間中学とフリースクール
  • 無料塾

第5章 命の現場

  • 子供ホスピス
  • 自殺
  • 赤ちゃんポスト

『漂流児童』が描こうとしたことは

著者石井光太さんがこの本で描こうとしたことは、「誰でも希望が持てくる国」としての日本の未来のつくり方です。当然それは簡単なことではありません。そのためには、

  • 「レールを外された子供たち」のいる最前線の児童福祉の現場を知ること。
  • そこで働く人たちの「日本の未来をよくすることにつながる」という思いを、私たち一人ひとりが他人事ではなく、当事者として彼らと同じような気持ちを持つこと

が必要不可欠だといいます。

テレビなどの報道では毎日のように子どもの虐待やいじめ、貧困などの問題がとりあげらます。目にしない日はないというくらいです。著者の石井光太さんは、これは日本の未来に対する警告だと受け止めます。報道されるたびに「政府も国民も将来に危機感を募らせ、支援に力をいれて子供たちを救おうと声を合わせる」(P-7)。

けれど、一向に解決に進みません。

なぜ進まないのか疑問に思った著者の石井光太さんはこう考えました。「まず必要なのは、私たち一人ひとりが、児童福祉について具体的に知ること」(P-10)だと。

そこでどのようなことが行われ、どこに課題があり、何に可能性を見い出せるのかを把握することが、レールからこぼれた子供たちの人生を光り輝かす第一歩になると考えるのだ。

わたしは、そんな信念をもって日本全国の児童福祉の現場を訪れ、(中略)。

そこで見える現実こそが、日本が進むべき道のりを示してくれるはずだからだ。児童福祉の未来は、そのまま日本の未来なのだ。(「はじめに」P-10)

著者石井光太さんは、ノンフィクション作家として児童虐待や少年事件などの現場を数多くめぐり、沢山の子どもたちに会ってきました。そこで出会った子供たちが起こした事件や犯罪が様々な困難の中で引き起こされた現実を誰よりも知っていました。だからこそ子供たちに向ける目が優しく、支援者に対する期待と思いが大きいのです。

事件や犯罪はたしかに悪い。しかし、レールからこぼれ落ちる人たちが一定数いる現実の中で、セーフティーネットといわれる福祉がどれだけ機能しているのか、本当に機能しているのかなど知らないで、簡単に事件や犯罪を冒した子供たちを「犯罪者」としてくくるだけでいいのかということを問いかけてきます。

映画監督の是枝裕和さんが映画で描く人達に向ける眼差しと観ている僕たちに鋭く投げかける問いと同じです。

まとめ

少し長くなりますが「あとがき」から引用します。

私が出会った人々の大半は、制度の不備を嘆いたり、誰かに責任転嫁したりするような発言をすることはなかった。それより、今、目の前の子供たちに実直に向き合うことに必死だった。子供一人ひとりの心に寄り添い、何度裏切られても精一杯の愛情を注ぎ、人生は捨てたものではないと励ましつづけていた。

なぜか。

そうすることが、日本の未来をよくすることにつばがるからだ。彼らが熱意を傾ければ傾けるだけ、子供たちの心に火が宿る。それが世の中を輝かせることにつながるのだ。

とはいえ、こうしたことは児童福祉に携わる人たちだけに任せて済む問題ではない。(中略)私たちがどこまで彼らと同じような気持ちを持てるかが重要だ。子供のより良い未来を願うなら、一人でも多くの人たちが、当事者として子供たちに関わって行くことが必要不可欠なのだ。

それができた時、日本は誰にとっても希望がもてる国になるに違いない。(P-349)

「レールからこぼれた」子供たちがいる最前線にある問題は、私たちの社会が人間の「命と尊厳」をどれだけ大切にしようとしているのかを問う試金石であり、「日本が誰にとっても希望が持てる国」に変えていけるだけの大きな問題だということですね。

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