自身の発達障害を公表した栗原類(モデル・俳優)のお母さん栗原泉さんの本です。お母さん自身も発達障害と診断され、シングルマザーとして類君を育て導いてきた過程をてとてもわかりやすく整理された手記です。しかし、単に苦労話で終わっていません。
迷いながら試行錯誤して実践してきた「子育て8つのマイルール」がいいです。発達障害の子育てに限らずに、すべての子育て中の母さんたちにも知ってい内容です。
本のタイトルと著者
タイトル 『ぶれない子育て』
著 者 栗原 泉
出版社 株式会社KADOKAWA
発行年 2018年6月14日発行
定 価 1.200円
「子育ての8つのマイルール」
このぶれない子育ての8つのルールは類君が発達障害と診断されたことと、自信の育てられ方を振り返ることで考えられたものです。お母さん自身は類君が生まれるまで自身が発達障害だとは診断されていませんから、その育ちを振り返ることは大切でした。8つのルールについての詳しいことは実際に本を読んでいただきたいと思いますので、ここでは8つのルールだけ記します。
マイルール1周囲の雑音に振り回されない知識を持つ
マイルール2「わが子に今何が必要か」をじっくり観察する
マイルール3頑張らせることの優先順位を決める
マイルール4子どもと一緒に学ぶ、感動を共感する
マイルール5人生への前向きな姿勢、社会常識やマナーを教える
マイルール6子どもの将来を見すえた教育ヴィジョンを持つ
マイルール7親のエゴをはずして子どもの意思を尊重する
マイルール8子どもに言ったことは必ず守る、言行一致させる
この8つのルールを確認するだけでも、子育てにおいては考えさせられるところがありますよね。
学校に対する鋭い考察
類君が小学校の5年生で日本へ帰国してからの学校との折衝の難しさを感じたというところでは、特に、障害に対する知識よりも社会常識・ルールに苦労したと書かれています。そして、その日本の学校現場においてどうやって類君の配慮をお願いするかという長い葛藤からたどりついた言葉がとても鋭い。引用します。
日本の学校で「発達障害なので○○を」やらせてほしい・やらせないでほしいという話を通すのがどれだけ大変かと考えると、知識が普及しようが障害者差別解消法が制定されようが、学校という実社会の中では大した変化はないでしょう。それこそ、学校内の謎ルールは厳格に守る人たちに限って、「でも障害者差別解消法ではこうなっています」と説明したところで、「法律を持ち出すのか」と怒り出すんだろうなあとという想像は容易につきます。(p-224)
これは、多くの保護者が経験し、現代の学校に対する不信感に繋がるものです。一人一人の先生たちと話すととても勉強していたり柔軟な発想をもって対応していこうと考えている方がたくさんいるのに、一般常識や一般社会のルールとかけ離れた特別な学校社会の一員になるとその謎ルールに従ってしまう先生たちが多くなります。
終わりに
発達障害を公表した栗原類さんの母親栗原泉さんの著書を紹介しました。
お母さん自身も発達障害と診断され、シングルマザーとして試行錯誤の結果「子育ての8つのマイルール」を生み出しました。栗原泉さんの決断と行動力。そして何よりも決めたことをやりぬく力に驚かされます。また、アメリカと日本の学校文化、両方をの経験したからこそ、日本の学校現場の分析と付き合い方は独自だけれども鋭く、納得させられます。
発達障害に関わらずすべての子育て中のお母さんたちにはぜひ読んでほいいと思います。