なぜ私はレジリエンスを伝えているのか― 教育現場で見てきた「人はもう一度立ち上がれる」という力 ―

時々、こんな質問をいただくことがあります。

「なぜレジリエンスを仕事にしたのですか?」「どうしてレジリエンスを伝えようと思ったのですか?」

そう聞かれるたびに、私は少し考えます。というのも、ある日突然レジリエンスという言葉に出会い、「これを仕事にしよう」と決めたわけではないからです。

もちろん、心理学やポジティブ心理学を学ぶ中で、レジリエンスという考え方には深く惹かれました。しかし、もっと正直に言えば、レジリエンスは後から見つけた言葉だったように思います。振り返ってみると、私がこれまで歩んできた人生そのものが、ずっとレジリエンスにつながっていたのです。

教育現場で子どもたちと向き合ってきた日々。思い通りにいかない現実に悩んだ時間。自分自身が不安や迷いを抱えながら、それでも前に進もうとしてきた経験。そして、人生の後半に入ってからも、もう一度自分の道をつくろうとしている今。そのすべてが、今の仕事につながっています。


こんにちは、ハーバード大学流心理学で心と脳をポジティブに整える専門家、長沢修司です。

今日、新しい気付きや心動くこと見つけましたか?

自分の強みを生かしながら、モチベーション高く、前向きに、そして、ワクワクしながら、自分で考え行動し、ポジティブで健康な心で生きられるようにサポートしています。


今日は少し、いつもの心理学や習慣の話ではなく、「なぜ私がこの仕事をしているのか」についてお話ししたいと思います。専門家としてというより、一人の人間として、私がなぜレジリエンスを伝え続けているのか。その背景を、少しだけ聞いていただけたら嬉しいです。

30年以上の教師生活で見てきたもの

私は30年以上、教育の現場にいました。中でも、特別支援教育の現場で過ごした時間は、今の私の考え方に大きな影響を与えています。

学校という場所は、決して教科書通りにはいきません。子ども一人ひとり、感じ方も、考え方も、成長のペースも違います。昨日うまくいった方法が、今日は通用しないこともあります。こちらが良かれと思ってかけた言葉が、思うように届かないこともあります。何度説明しても伝わらないこともあれば、逆に何気ない一言が、子どもの表情を大きく変えることもある。教育の現場は、毎日が試行錯誤でした。

悩んでいたのは子どもたちだけではありません。保護者の方も悩んでいました。同僚も迷っていました。そして、私自身も何度も壁にぶつかりました。「どう関わればいいのだろう」「この子にとって本当に必要な支援は何だろう」「自分の関わり方は間違っていないだろうか」——そんな問いを、何度も自分に投げかけてきました。

その中で、少しずつ感じるようになったことがあります。人間に必要なのは、「失敗しない力」ではない。本当に必要なのは、うまくいかないときに、もう一度考え直せる力なのではないか、ということです。

失敗しないようにすることも大切です。でも、人は必ず失敗します。思い通りにいかないこともあれば、努力しても結果が出ないこともある。大切なのは、そのときに自分を責めて終わるのではなく、「では、次はどう関わろうか」「別の方法はないだろうか」「もう一度、ここから始められないだろうか」と考え直せることです。

当時は、レジリエンスという言葉を強く意識していたわけではありません。けれど今振り返ると、教育現場で私が向き合っていたのは、まさにその力でした。折れないことではなく、折れそうになっても戻ってくる力。失敗しないことではなく、失敗から学び直す力。人がもう一度、自分の力を取り戻していく過程。私はずっと、その現場にいたのだと思います。

子どもたちから教えられた「人は変われる」

教育現場では、子どもたちから本当に多くのことを教えられました。中でも強く心に残っているのは、「人は一気には変わらない。でも、少しずつなら変わっていける」ということです。

ある子がいました。最初は、新しいことに取り組むのがとても苦手でした。失敗することへの不安が強く、少し難しいことがあると、すぐに手が止まってしまう。周りが励ましても、なかなか一歩を踏み出せない。「どうせできない」——そんな気持ちが、表情や行動に出ているように感じることもありました。

こちらも、何度も関わり方を考えました。どんな声かけなら安心できるのか。どのくらいの課題なら取り組めるのか。どんな環境なら、少しでも挑戦しやすくなるのか。すぐに変化が出たわけではありません。うまくいかない日もあり、こちらの関わりが空回りすることもありました。

それでも、周囲の大人が関わり続けました。できないところばかりを見るのではなく、ほんの小さな「できた」を見つける。一歩進めたら、その一歩を認める。失敗しても、責めるのではなく、次にどうするかを一緒に考える。そうした関わりを続けていくうちに、ある日、小さな変化が見えました。これまでならすぐに諦めていた場面で、少しだけ手を動かしたのです。

ほんの小さな行動でした。でも、私にはとても大きな変化に見えました。その後も、少しずつできることが増えていきました。もちろん、一直線に成長したわけではなく、戻る日も、立ち止まる日もありました。それでも、以前とは違う表情を見せる瞬間が増えていったのです。

その経験から、私は強く感じました。人は一気には変わらない。でも、安心できる人とのつながりと、小さな成功体験があれば、人は少しずつ変わっていく。これは、今の私がレジリエンスを考えるうえで、とても大切にしている原点です。

人は「頑張れ」と言われるだけでは変われません。安心できる関係の中で、「自分にもできるかもしれない」と思える小さな経験を積み重ねることで、少しずつ変わっていく。このことを、私は子どもたちから教えられました。

私自身も「折れない人」だったわけではない

レジリエンスを伝えていると言うと、「もともと心が強い人なのですね」と思われることがあります。でも、決してそんなことはありません。

私自身、いつも前向きだったわけではありません。長い教師生活の中で、仕事に迷ったこともあれば、自信をなくしたこともあります。思い通りにいかない現実に、悔しさや無力感を感じたこともありました。新しい道へ進むときには、不安もありました。「本当にこれでいいのだろうか」「自分にできるのだろうか」「これまで積み重ねてきたものを手放して大丈夫なのだろうか」——そんな思いが何度も浮かびました。

最近では、手術や休養を経験する中で、自分の身体や生活を見直す時間もありました。そのときも、いつも前向きでいられたわけではありません。不安になることも、立ち止まることも、思うように動けない自分にもどかしさを感じることもありました。

だから私は、レジリエンスを「決して折れない強い心」だとは考えていません。人は折れることがあります。立ち止まることも、不安になることも、迷うこともあります。それは弱さではなく、人間として自然なことです。大切なのは、折れないことではなく、折れたあとにどうするかです。

立ち止まってもいい。落ち込んでもいい。すぐに前向きになれなくてもいい。それでも、自分のペースで戻ってこられる。もう一度、歩き始めることができる。それが本当の強さではないかと思っています。

レジリエンスとは、強い人になることではありません。自分の弱さも、不安も、迷いも抱えながら、それでも人生に戻っていく力です。私は、その力を伝えたいのです。

レジリエンスとの出会いで、経験が一本につながった

その後、心理学やポジティブ心理学を学ぶ中で、レジリエンスという考え方に出会いました。そのとき、私はこう感じました。「ああ、私はずっとこれを考えていたんだ」

教育現場で経験してきたこと。子どもたちの変化を見てきたこと。保護者や同僚と悩みながら支え合ってきたこと。自分自身が迷いながらも、もう一度立ち上がろうとしてきたこと。それらが、レジリエンスという言葉によって一本につながったように感じました。

感情を整えること。小さな成功体験から自信を育てること。未来にはまだ可能性があると信じること。支えてくれる人とのつながりを持つこと。これらは、教育現場で私が大切にしてきたことでもありました。

そして今、私はレジリエンスを4つの「心の筋肉」として伝えています。

一つ目は、感情のコントロールです。感情を消すのではなく、自分の感情に気づき、振り回されすぎずに整えていく力です。

二つ目は、自己効力感です。「自分ならできるかもしれない」と思える感覚で、小さな成功体験の積み重ねによって育ちます。

三つ目は、楽観性です。何でも良い方向に考えることではなく、今が苦しくても、未来にはまだ可能性があると考える力です。

四つ目は、人とのつながりです。困ったときに頼れる人がいる。話を聞いてくれる人がいる。自分も誰かを支えることができる。そうしたつながりは、心の回復力を支えてくれます。

この4つの心の筋肉は、生まれつき決まっているものではありません。日々の習慣や経験、人との関わりの中で、何歳からでも育てていくことができます。それを伝えたいと思ったことが、今の仕事につながっています。

なぜ教師を辞めた後も「人の成長」に関わっているのか

教師を辞めたあと、私は新しい道に進みました。一見すると、仕事を変えたように見えるかもしれません。もちろん、働き方も、関わる相手も、場所も、伝え方も変わりました。けれど、私の中では本質は変わっていません。

私はずっと、人が自分の力を取り戻す瞬間に関わりたいと思ってきたのだと思います。

教育現場では、子どもたちが少しずつ自信を取り戻す姿を見てきました。「できない」と思っていた子が、小さな一歩を踏み出す。不安そうだった表情が、少しずつ変わっていく。周囲とのつながりの中で、自分らしさを取り戻していく。その瞬間に立ち会えることが、私にとって大きな喜びでした。

今は、子どもたちだけではありません。40代、50代、60代、そしてその先の人生を歩む方々にも、同じように伝えたいと思っています。「もう遅い」「今さら変われない」「この年齢から新しいことを始めても意味がない」——そう感じている人は少なくありません。

しかし、私はそうは思いません。人生は、何歳からでも見直すことができます。大きく変える必要はなく、小さな選択を変えることから、人生は少しずつ動き始めます。これまでの経験は、決して無駄ではありません。失敗も、遠回りも、迷いも、すべてがこれからの人生の土台になります。

だから私は、人生の後半にいる人たちにも伝えたいのです。人生はまだ変えられる。もう一度、自分の力を取り戻すことができる。その思いが、今の「自己革命」という考え方につながっています。

私が考える「自己革命」とは

自己革命という言葉は、少し強く聞こえるかもしれません。人生を大きく変えなければならない。会社を辞めなければならない。起業しなければならない。劇的な人生に変えなければならない。そんな印象を持つ方もいるかもしれません。

でも、私が考える自己革命は、そういうものではありません。これまでの人生を全部捨てて、新しい人間になることではなく、「これから、自分はどう生きたいのか」と、もう一度自分に問いかけることです。そして、その答えに向かって、小さな選択を変えていくことです。

朝の過ごし方を変える。自分にかける言葉を変える。人との関わり方を変える。今日できたことを認める。無理をしすぎず、休むことを選ぶ。本当に大切にしたいものに、少し時間を使う。そうした小さな選択の積み重ねが、自己革命です。

レジリエンスが「戻る力」だとすれば、自己革命は「そこからもう一度進む力」です。失敗しても戻る。立ち止まっても戻る。そして戻ってきた場所から、「では、これからどう生きたいのか」と問い直し、少しずつ前へ進んでいく。それが、私の考える自己革命です。

大きなことをしなくてもいいし、すぐに結果を出さなくてもいい。まずは、自分の人生をもう一度、自分の手に取り戻すこと。そこから始めればいいのです。

500日以上の「朝の応援メッセージ」に込めているもの

私はYouTubeで、朝の応援メッセージを500日以上続けてきました。この活動にも、私なりの思いがあります。

一日の始まりは、とても大切です。朝、どんな言葉に触れるか。どんな気持ちで一日を始めるか。それだけで、その日の心の向きが少し変わることがあります。

もちろん、一本の短いメッセージで人生が大きく変わるわけではないかもしれません。でも、誰かが朝、その言葉を見て、「今日も少しやってみよう」「もう一度、立ち上がってみよう」「自分を責めすぎなくてもいいのかもしれない」と思ってくれたら、それだけで意味があると思っています。

最初から500日を目指していたわけではありません。毎日、今日の一回を届ける。その積み重ねでした。体調が良くない日も、言葉がすぐに出てこない日も、忙しい日もありました。それでも続けてこられたのは、見てくださる方の存在があったからです。コメントや反応をいただくたびに、「自分の言葉が誰かの朝に届いている」と感じました。

発信しているようで、私自身も支えられていたのだと思います。これはまさに、レジリエンスの大切な要素である「人とのつながり」です。人は一人では強くなれません。誰かに届けようとすること。誰かの言葉を受け取ること。そのつながりの中で、私たちは少しずつ前に進む力をもらっています。朝の応援メッセージは、私にとって発信であると同時に、つながりを感じる大切な場でもあります。

私がこれからやりたいこと

これまでは、ブログやYouTubeを通じて、レジリエンスや習慣、自己効力感、自己革命について発信してきました。知識を届けること、考え方を伝えること、少しでも前に進むきっかけを届けること。それはこれからも大切にしていきたいと思っています。

ただ、これからはそれだけでなく、「学ぶ」だけではなく「変化を経験できる場所」をつくっていきたいと考えています。レジリエンスを知る。自分を知る。小さく実践する。習慣にする。仲間とつながる。そして、人生そのものをもう一度見つめ直す。そこまで一緒に歩める場をつくりたいのです。

なぜなら、人は知識だけでは変わりにくいからです。本を読んで「なるほど」と思っても、日常に戻ると元の習慣に戻ってしまうことがあります。動画を見て「やってみよう」と思っても、数日後には忘れてしまうこともある。だからこそ実践が必要で、続ける仕組みが必要で、さらに一人ではなく誰かと一緒に歩く場が必要なのです。

電子書籍や21日間の実践、さらに長期的な学びやコミュニティを考えているのも、そのためです。商品やサービスを増やしたいからではありません。本当に変わるためには、知るだけでなく、実践し、続け、支え合う場が必要だと感じているからです。

私はこれからも、レジリエンスを「知識」としてだけではなく、生活の中で使える力として伝えていきたいと思っています。そして、一人ひとりが自分の人生をもう一度動かしていくための場をつくっていきたい。それが、今の私がやりたいことです。

終わりに

私自身も、まだ人生の途中にいます。迷うこともあれば、立ち止まることも、不安になることもあります。いつも正解を持っているわけではありません。だからこそ、これからもレジリエンスを学び、実践し、伝えていきたいと思っています。

私が伝えたいのは、「強くなりなさい」ということではありません。「何があっても折れてはいけない」ということでもありません。

人は折れることがあります。立ち止まることも、自信をなくすこともあります。それでも、もう一度戻ってくることはできます。そして、そこからまた人生を始めることができます。

私が教育現場で見てきたのは、その力でした。子どもたちが小さな成功体験を重ねながら変わっていく姿。人とのつながりの中で、自分の力を取り戻していく姿。失敗しても、もう一度やってみようとする姿。その経験が、今の私の仕事の原点です。

何歳からでも、人は変われます。一気に変わらなくてもいい。小さな一歩でいい。今日、自分にできることを一つ始めるだけでいい。

私が伝えたいのは、ただ一つです。

何があっても、あなたはもう一度戻ってこられる。そして、そこからまた人生を始められる。

そのことを伝えるのが、今の私の仕事です。

それでは、また!

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