人生の折り返しを過ぎて、私が考えるようになった幸せのかたち

「あなたにとって、成功とは何でしょうか?」

仕事で認められること。経済的に豊かになること。夢を実現すること。社会的な地位を得ること。あるいは、家族と穏やかに暮らすことかもしれません。

若い頃の私たちは、どこかで「成功する人生」を目指して生きてきたのではないでしょうか。私自身もそうでした。目の前の仕事に向き合い、一つひとつ責任を果たしながら、前へ前へと進んできたように思います。

しかし、年齢を重ねるにつれて、少し違うことを考えるようになりました。人生の最後に振り返ったとき、「成功した人生だった」と思えることと、「幸せな人生だった」と思えることは、必ずしも同じではないのかもしれない、ということです。

今日は、人生後半における成功と幸せについて、考えてみたいと思います。

こんにちは、ハーバード大学流心理学で心と脳をポジティブに整える専門家、長沢修司です。

今日、新しい気付きや心動くこと見つけましたか?

自分の強みを生かしながら、モチベーション高く、前向きに、そして、ワクワクしながら、自分で考え行動し、ポジティブで健康な心で生きられるようにサポートしています。

あなたにとって「成功」とは何ですか?

人生後半に必要なのは「成功」より「自分らしく生きること」かもしれない

私たちは、いつから「成功」を追いかけるようになったのだろう

学校を卒業する。就職する。仕事で成果を出す。昇進する。収入を増やす。家族を持ち、生活を安定させる。こうした人生の道筋は、多くの人にとって、一つの目標になってきました。

もちろん、それ自体が悪いわけではありません。努力して目標を達成することには、確かな喜びがあります。

ただ、いつの間にか「自分が望んでいること」と「周囲から期待されていること」が重なり、区別しにくくなることがあります。自分が本当に望んでいる成功なのか。それとも、誰かが決めた成功を追いかけているのか。人生後半は、その違いを静かに考える機会でもあるのだと思います。

私は30年以上、教師として働いてきました。特別支援教育の現場では、子どもたちの成長の仕方が、本当に一人ひとり異なります。同じ年齢だからといって、同じことができるわけではありません。同じ方法で学べるわけでもありません。

だからこそ、一人ひとりの成長を、丁寧に見つめる必要がありました。昨日まで難しかったことに挑戦する。自分の気持ちを伝えようとする。友達や教師との関わりを広げていく。その子なりの小さな変化に、大きな意味がありました。

人の価値は、何ができるか、どれほど成果を上げたかだけでは決まりません。教師として大切にしてきたこの考え方は、人生後半の生き方を考えるうえでも、とても重要な視点になっています。

不思議なことに、私たちは子どもたちに対しては、「できるかどうか」だけでなく、「その子らしさ」を大切にしたいと自然に思えます。それなのに、自分自身や大人に対しては、いつの間にか成果や能力ばかりで測ってしまう。そのことに気づいたとき、少し立ち止まって考えさせられました。大人になっても、一人ひとりに、その人なりの成長があり、その人なりの人生があるはずなのです。

退職して、改めて考えた「自分の価値」

長年続けてきた教師という仕事を離れたとき、社会的な役割は変わりました。毎日通う職場も、日々の仕事も変わりました。

しかし、教師という肩書きがなくなったからといって、自分自身の価値がなくなるわけではありません。これまで積み重ねてきた経験。人とのつながり。大切にしてきた考え方。これから挑戦したいこと。そうしたものは、退職しても自分の中に残っています。

前回は、教師からレジリエンストレーナーへと、仕事が変わってきた道のりをお話ししました。今回お伝えしたいのは、少し別のことです。役割が変わっても、失われない人間の価値があるということ。私たちの価値は、肩書きの中だけにあるのではなく、その人自身の生き方の中にもあるのだと思います。

大きな手術を経験して、成功の意味を考え直した

大きな手術を経験したことについては、以前にもお話ししました。そのときは、健康や家族、日常のありがたさについて考えました。今回は、そこから一歩進んで、お伝えしたいと思います。

人生の時間には、限りがあります。その限られた時間の中で、自分は何を大切にして生きたいのか。何を達成したいかだけではなく、どのような毎日を送りたいのか。誰と時間を過ごしたいのか。何をしているときに、充実感を覚えるのか。

「どれだけ多くのことを成し遂げたか」より、「自分にとって大切なことに、どれだけ時間を使えたか」。そんな視点も、人生後半には必要なのではないでしょうか。

以前の私は、1日をどれだけ有効に使えたかを、やり遂げたことの量で測っていたように思います。今は、その日の終わりに、「今日は自分にとって意味のある時間を過ごせただろうか」と問いかけるようになりました。同じ一日でも、物差しが変わると、見えてくるものが変わります。

ポジティブ心理学から考える「幸せな人生」

Woman relaxing by the window in her room

ポジティブ心理学では、幸福やウェルビーイングを、単なる快楽や、一時的な気分のよさだけで捉えません。たとえば、マーティン・セリグマンが提唱したPERMA(パーマ)モデルでは、ウェルビーイングを次の5つの側面から考えます。

要素 内容
P:Positive Emotion(ポジティブ感情) 喜びや感謝などを感じること
E:Engagement(エンゲージメント) 何かに夢中になり、没頭すること
R:Relationships(人間関係) 人との良好なつながりを持つこと
M:Meaning(意味・意義) 自分の人生や活動に意味を感じること
A:Accomplishment(達成) 目標を達成し、成長を実感すること

ここで注目したいのは、成功や達成は、幸福の一つの要素ではあっても、すべてではないということです。人とのつながり。生きる意味。何かに夢中になる時間。こうしたものも、人生の豊かさを支えています。

人生の豊かさとは、一つの成功だけで決まるものではなく、いくつもの大切な要素が重なり合って生まれるものなのだと思います。

「自分らしく生きる」とは、好き勝手に生きることではない

「自分らしく生きる」と聞くと、自由気ままに生きることを想像する方もいるかもしれません。しかし、それだけではないと思います。

自分にとって大切なものを知る。できることと、できないことを受け入れる。他人の価値観を尊重しながら、自分の意思も大切にする。そして、選んだことに責任を持つ。

自分らしく生きるとは、何でも自分の思い通りにすることではなく、自分が大切にしたい価値観に沿って、人生を選んでいくことなのだと思います。これは、私が伝えている「自己革命」の考え方にも、深くつながっています。

そして、自分らしさとは、最初から完成された答えとして存在しているものでもないのだと思います。迷いながら、試しながら、少しずつ「これは自分らしい」「これは違うかもしれない」と気づいていく。その過程そのものが、自分らしく生きるということなのかもしれません。何歳になっても、その問いに向き合うことは、遅すぎることはありません。

人生後半だからこそ、成功の定義を変えてもいい

若い頃には、仕事で成果を出すことが最優先だったかもしれません。家族を養うこと。社会的な責任を果たすこと。収入を増やすこと。それらを大切にしてきた人生には、確かな意味があります。

しかし、人生の段階が変われば、目標が変わってもいいのだと思います。仕事の成果より、家族との時間を大切にしたい。昇進より、健康を守りたい。収入だけでなく、誰かの役に立つ活動をしたい。新しいことを学びたい。

人生の途中で成功の定義を変えることは、過去の自分を否定することではありません。今の自分に合った生き方を、選び直すことなのです。

昨日までの目標が、今日の目標でなくなっても、それは後退ではありません。人生の季節が変われば、育てたいものも、収穫したいものも変わっていく。そう考えると、目標を見直すことにも、前向きな意味が見えてきます。

それでも私は、まだ挑戦を続けたい

「成功より、自分らしく生きることが大切」と言っても、私は挑戦をやめるつもりはありません。むしろ、自分が本当にやりたいことだからこそ、挑戦したいのです。

今のレジリエンスを伝える活動も、その一つです。30年以上の教育経験。ポジティブ心理学の学び。そして、自分自身の人生経験。それらを生かして、人生後半を迎えた人たちが、自分の可能性を見つけ直せる場所をつくりたいと考えています。

私にとっての成功とは、誰かより大きな成果を出すことではなく、自分が意味を感じることに、挑戦し続けられることなのかもしれません。

今日の自己革命の一歩

今回は、少し深く考えてみるワークです。次の3つの問いに、答えてみてください。

一つ目は、これまでの人生で、あなたが目指してきた成功とは何でしたか。二つ目は、今のあなたにとって、本当に大切にしたいことは何でしょうか。三つ目は、10年後に振り返ったとき、「あのように生きてよかった」と思えるのは、どのような人生でしょうか。

そして、最後に一文を書いてみてください。

「これからの私にとって、成功とは________である。」

この一文が、これからの人生の小さな指針になるかもしれません。

まとめ ― 人生の成功は、自分で決めていい

若い頃、私たちは何かを成し遂げようと、一生懸命に生きてきました。仕事を頑張り、家族を支え、さまざまな責任を果たしてきました。その歩みには、大きな意味があったと思います。

しかし、人生の後半に入った今、私は少し違うことを考えています。これからは、誰かが決めた成功を追いかけるだけではなく、自分にとって本当に大切なものを大切にして生きていきたい。そして、まだやりたいことには、挑戦していきたい。

人生後半に必要なのは、成功を諦めることではありません。成功の意味を、自分自身で選び直すことなのだと思います。

人生の成功は、誰かに決めてもらうものではありません。自分自身で決めていい。そう思えたとき、これからの毎日は、少し軽やかに、そして少し豊かに見えてくるのではないでしょうか。あなたにとって、これからの人生で本当に大切にしたいことは、何でしょうか。

 

それでは、また!

 

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