産まれた子どもが発達障害と診断されたら、その時あなたはその現実をどう受け止めますか?
ここでは、自閉症と診断された子どもと母親の17年間の子育てを綴った本を紹介します。
本の帯には、
幼児教育のプロとして活躍する母が自閉症児を授かり、世間一般の「理想の子育て」から自由になっていく奇跡を描いた。
とあります。
これから特別支援教育関係へ携わりたいと考えている人や若いお母さんたちにおすすめします。
タイトルと著者
タイトル:『発達障害に生まれれて』
著 者:松永 正訓
出版社 :中央公論新社
出版年 :2018年
定 価:1.600円(税別)
この本をおすすめするポイント
著者の松永正訓さんの本を読んだのは『呼吸器の子』に続いて2冊目です。『呼吸器の子』と同じように母親や関係者からの話を聞き取って書いています。
この本からは、
- 障害受容への保護者の葛藤を理解することができます。
決して簡単に子供の障害を受容できるものではなく、成長とともに新たな悩みや苦しみが生まれていきます。それを乗り越えての障害受容にまで至る軌跡が理解できます。 - 自閉症の特性を理解した関わり方がわかります。一人ひとりが持つ特性は違っても特性に寄り添うことの大切さがわかります。
- その時々での自閉症児本人と保護者の気持ちに気付こうとしたり寄り添う気持ちが生まれます。
- 当事者・家族と社会・支援者との関係を考える切っ掛けになります。
- 発達障害理解の基礎がわかります。
といったことを学ぶことができます。
『発達障害に生まれて』を読んでの気付き
この本からは次の2つの大切な気付きがありました。少し長いですが引用します。
健常者の脳で子どもの幸せを考えてはいけない。自閉症児の脳で考えてやればいいのだ。・・・自閉症の世界に生きているのだから、その世界観の中で楽しみを見つければいい。子どもを変えようとしてはいけない。親が変わるべきなのである。(p-233)
子どものあるがままを受け止めて行く。なかなか難しいことですよね。でも、僕たちの世界でも、人との関係がうまくいかないときというのは、相手を変えようとしているときが多いことに気が付きます。相手の考え方をまず受け止めるということから関係が作られていくということに気付かされます。
私達の文化は、横並びで有ることが特徴で、出る杭は打たれ、目立たないことが美徳とされる。場の空気を読む人間が賢いと考えられ、いったん一つの集団が形成されるとそのグループは単一の考え方に染まりやすい。従って集団から仲間外れにされるとかなりつらい思いをする。
多様性が大事だと指摘されるが、私たちはの社会は多様さの重要性が本来の意味でまだ根付いていないような気がする。息苦しさを感じている人もたくさんいるだろう。(PP252-253)
とダイバーシティについても気付かされます。同調圧力が強くなってしまう日本社会でほんとうの意味でのダイバーシティの理解が進んでほしいと思います。
まとめ
『発達障害に生まれて』をこれから特別支援教育関係の仕事に携わりたいと考えてる人や若い保護者の方に読んでほしいと思って、この本をおすすめしました。
発達障害と保護者についてのたくさんの気付きがあると思います。
また、補章として「発達障害を理解するために」があり、貼ったう障害の基礎的なことがとてもわかり易くまとめてあり、役に立ちます。