こんにちは。ストレス社会で毎日ストレスに晒され心を痛め、心を病んでしまったり、職場をやめてしまったり、命を落とす人を一人でもなくしたいという思いから、強いストレスに晒されても折れない、柔軟でしなやかな心を作るお手伝をしているレジリエンストレーナーの長沢です。
あなたは、日常生活でストレスを感じやすい方ですか?また人との関係をうまく作れなくて、コミュニケーションが苦手、人を信用することができない等、人と関わりたくてもうまくいかないと悩んだりしていませんか?それはもしかしたら、愛着と関係があるかもしれません。
今日は、大人の愛着障害の症状や治療法がよく分かる映画を観たので紹介します。その映画とは、『母さんがどんなに僕を嫌いでも』です。
映画『母さんがどんなに僕を嫌いでも』はどんな映画?
作家の歌川タイジさんの実体験を書かれた本『母さんがどんなに僕を嫌いでも』を原作にしています。
この映画がほとんど歌川さんが実際に経験してきたことだったということに強い衝撃を受けました。
映画のあらすじを公式ホームページから引用します。
タイジ(大賀)は幼い頃から美しい母・光子(吉田羊)のことが大好き。手間ひまかけて作ってくれる混ぜご飯はタイジの大好物だ。だが、家の中にいる光子はいつも情緒不安定で、タイジの行動にイラつき、容赦なく手を上げる。
夫との離婚問題が浮上し、光子は、タイジがいると不利になると思い、タイジは9歳にして児童保護施設へ入れられてしまう。1年後良い条件で離婚した光子は、タイジとその姉・貴子を連れ、新しい家に出ていくが、そこでもまた不安定な生活を送るようになる。
17歳になったタイジは、ある日光子から酷い言葉と暴力を受けたことをきっかけに、家を出て一人で生きていく決意をする。
ただ、日々を生きているだけのタイジだったが、幼い頃に唯一自分の味方をしてくれた工場の婆ちゃん(木野花)と再開し、自分を今も思ってくれる強く優しい思いに心を動かされる。
努力を重ね、一流企業の営業職についたタイジは社会人劇団にも入り、金持ちで華やかだが毒舌家のキミツ(森崎ウィン)と出会う。容赦なく物言うキミツに戸惑いながらも、次第に心を開いていくタイジ。会社の同僚・カナ(秋月三佳)やその恋人の大将(白石隼也)とも次第に打ち解けていく。
大人になって初めて、人と心を通わせる幸せを感じたタイジは、友人たちの言葉から、自分が今も母を好きでいることに気づき、再び母と向き合う決意をする。
長らく絶縁状態だった光子から連絡を受けたタイジは、光子の再婚相手の葬儀に出席するも冷たくあしらわれる。しかし、自分から変わることを決めたタイジは、食事を作りに家へ通うなど母に寄り添い、もっと母のことを知ろうと叔母のもとを訪ねる。そこで聞かされたのは、母の幼い頃の苦労。
すこしづつ距離を縮めていくタイミングだったが、光子が亡き夫の残した莫大な借金を背負っていることを知る。借金を巡って口論になった光子とタイジ。光子は弱っていながらも、またもタイジを拒絶する。しかし、そんな光子をみてタイジが取った行動は・・・。
キャストは、母親・光子に吉田羊、主役のタイジを大賀が演じています。タイジに大きな影響を与える重要な人物達として、工場の婆ちゃんに木野花、友人のキミツに森崎ウィン、カナに秋月三佳、大将に白石隼也がそれぞれ演じています。
この映画では、虐待の連鎖、大人の愛着障害、そこからの立ち直りの過程が描かれています。タイジ役の大賀さんが見せる愛着障害の症状は抑え気味ですが、よく伝わてきます。また、母親役の吉田羊さんもタイジとはちがった形での愛着障害の症状がみられます。
大人の愛着障害って?
大人の愛着障害というのは、簡単に言うと子供の頃に強い愛着を形成できないためになってしまった愛着障害を改善できないまま大人になったということです。それでは、このよく聞く愛着って何?ということですよね。言葉は知っているけど案外よくわからなかったりしませんか?
愛着とは
愛着とは、「乳児が親やそれに変わる親しい養育者との間に作られる安定した情緒的な絆」(ボウルビィ)のことです。愛着が形成されるのは早く、だいたい生後6ヶ月から2~3歳ごろと言われています。これは、本来本能的なものだとされています。どうしてかというと愛着を築くときに見せる行動が、基本的には危機、または危機が予想される状況で母親などの養育者にたいして行うことで、安全感・安心感を得ようとする行動だからで、母親などの養育者からいつも快適で適切な対応が繰り返されることで安定した情緒的な絆が形成されます。
愛着障害とは?
愛着障害とは愛着関係が形成されなかったことによって起こる障害のことを言います。
愛着障害が起きる最も大きな原因が虐待(身体的虐待、心理的虐待、ネグレクト、性的虐待)です。今日的な社会問題となっていますね。
愛着障害は基準によって症状が異なることがあるので、ここではWHOの「疾患及び関連保健問題の国際統計分類国際疾病分類(ICD)」の最新版ICDー10からその症状をみてみます。
まず発達障害は2つに分けられます。
- 反応性愛着障害(RAD)
- 脱抑制愛着障害(DAD)
反応性愛着障害
反応性愛着障害は、自分の感情や欲求をアピールできずに成長した結果、他人と関わることに不安を持つことで次のような特徴がみられるとしています。
- 感情表現が偏っている・激しい
- 恐怖心や警戒心が強い
- 自分や他人への攻撃性が高い
- 友達との交流が少ない
脱抑制愛着障害
脱抑制愛着障害は、他人に対して過度に関わろうとすることから、次のような特徴があるとされます。
- 誰にでも抱きついたり、くっついたりする
- 他人の注意をひこうとする
- 相手かまわず馴れ馴れしい
- 友達との交流が少ない
他人とうまく関われないという症状を見せるよく似た障害に発達障害がありますが、
- 発達障害は先天的な脳機能の障害
- 愛着障害は後天的な行動障害
として区別されています。
大人の愛着障害の症状と治療方法
大人の発達障害の症状
愛着障害が改善されないまま大人になった場合どんな症状みられるかというと、
- 人間関係を作るのが苦手
- 人とのコミュニケーションを避けるようになる
- 他人を信じることができなくなる
- 親との関係がうまくいかない
- 日常生活で様々なストレスを感じやすくなる
と言われています。人と関わったりコミュニケーションを取りたいという気持ちはあるのですが、他人に対する恐怖心や不安感を拭い去れないために起こります。これは根底に愛着が形成されなかったことにより、自分に自信が持てないなど自己肯定感・自己効用感が低いことがあります。
大人の愛着障害の治療法
基本的には専門医の治療をおすすめします。
- 専門医の治療
- カウセリングを受ける
- 親との和解Or決別
- 認知トレーニングを受ける
下の2つについてもできれば、専門医やカウンセラー、トレーナーについて行うことをおすすめします。
タイジと母親・光子はともに虐待により愛着障害になり、大人になるまで引きずっていきました。
愛する人を困らせ傷つけたくなる母・光子は、愛情を寄せてくるタイジをとことん傷つけるという典型的な大人の愛着障害の症状を見せます。そのため他人に対する恐怖心や不安感を抱え、愛情を素直に受けられないというこれまた典型的な愛着障害症状を見せるタイジ。
でも、タイジは、工場の婆ちゃんの深く強い愛情とキミツ、カナ、大将らの友情を受け親との和解の道を選択しました。
治療方法の中では、親との和解は最も難易度が高く難しいとされます。けれど最も有効な治療法です。本当にすごいことだなと驚き感心しました。
「みんな欠陥がある。でも、その欠陥も含めて完全なんじゃないかな。」という大将。
「今まで、こんなに楽しいことはなかったから、笑い方がわからない」というタイジのことばが切なく胸に刺さります。
まとめ
乳児のときに形成されるべき愛着が形成されずに大人になってしまった愛着障害の方の症状と治療方法を映画『母さんがどんなに僕を嫌いでも』は見事に表現していました。
大人の愛着障害では、
- 人間関係を作るのが苦手
- 人とのコミュニケーションを避けるようになる
- 他人を信じることができなくなる
- 親との関係がうまくいかない
- 日常生活で様々なストレスを感じやすくなる
などの症状がみられます。治療方法としては、
- 専門医の治療をおすすめします。
- カウンセラーを受ける
- 親との和解Or決別
- 認知トレーニングを受ける
他人を信じられなくなるという症状は、恐怖心や不安感があります。それを隠そうとして、他人を攻撃したり支配したりする行動になることもあります。
このストレス社会で毎日ストレスにさらされ苦しい思いをしている人がたくさんいます。生きにくさを感じたり、言いたいことが言えなかったり、すぐに凹んでしまったりしていませんか?
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