逆境に強い自分を作る!科学が認めたレジリエンスを鍛える方法

日々の生活の中で、思い通りにいかないことや、心が折れそうになる出来事に直面することは、誰にでもあります。

そんなとき、すぐに気持ちを切り替えられたり、自分を立て直せる人っていますよね。

その力こそが、レジリエンス(心の回復力)です。


こんにちは、ハーバード大学流心理学で心と脳をポジティブに整える専門家の長沢です。

今日、新しい気付きや心動くこと見つけましたか?

自分の強みを生かしながら、モチベーション高く、前向きに、そして、ワクワクしながら、自分で考え行動し、ポジティブで健康な心で生きられるようにサポートしています。

この「レジリエンス」という言葉は、近年ではビジネスや教育、医療の現場でも広く注目されています。

私のブログでも何度か取り上げてきたので、ご存知の方も多いかもしれません。

あらためてごく簡単におさらいすると、レジリエンスとは「逆境に折れず、しなやかに立ち直る力」のこと。

心理学や脳科学の研究でも、この力は後天的に鍛えることができるスキルであることがわかってきています。

今回はそのレジリエンスについて、科学的な視点から「高い人の特徴」と「日常の中で実践できる習慣」について詳しくご紹介します。

ではどうぞ!

レジリエンスが高い人に共通する5つの特徴

レジリエンスが高い人たちには、いくつかの共通点があります。

ただ「我慢強い」とか「ポジティブで元気」というわけではなく、困難を前にしても、状況を冷静に捉え、自分なりの意味づけをしながら前に進んでいける、そんな「心の柔軟性」を持っているのです。

具体的には、次の5つの特徴が見られます。

  1. 柔軟な思考
     失敗を恐れず、どんな状況でも「今の自分にできること」を考える力。過去にこだわらず、必要に応じて考え方を切り替えられる柔軟性がある。
  2. 前向きな意味づけ
     トラブルやミスに直面したときも、「これは成長のチャンスだ」と捉え、そこから学ぼうとする姿勢がある。
  3. 感情のセルフコントロール
     不安や怒りをそのままぶつけるのではなく、まずは一歩引いて、自分の感情を見つめ直す冷静さを持っている。
  4. 他者とのつながりを大切にする
     ひとりで抱え込まず、周囲の信頼できる人に相談したり、助けを求めたりできる。孤立を防ぐことが心の安定につながっている。
  5. 目的意識がある
     自分が「何のために頑張っているのか」「どこに向かっているのか」という軸があるため、困難に直面してもぶれにくい。

これらは、決して特別な才能ではありません。

日々の生活の中での積み重ねによって、誰でも身につけていくことが可能です。

今日からできる!レジリエンスを高める5つの習慣

では、実際にレジリエンスを鍛えるには、どんなことをすればいいのでしょうか?
ここでは、心理学や脳科学の研究でも効果が実証されている、5つの習慣をご紹介します。

どれもシンプルですが、続けることで確実に「逆境に強い心」が育っていきます。

1. 感謝を習慣にする

ポジティブ心理学の研究では、「感謝」を感じることがストレス耐性を高め、幸福度を上げることが分かっています。
たとえば、寝る前に「今日よかったことを3つ」書き出すだけの感謝日記は、レジリエンスを育てる代表的な方法。

✔ 今日の夕食が美味しかった
✔ 上司にありがとうと言われた
✔ 夕方の空がきれいだった

どんな小さなことでも構いません。

日常に「すでにある幸せ」を意識するだけで、心に余裕が生まれます。

2. 小さな成功体験を重ねる

「自分にはできる」という感覚、いわゆる自己効力感は、レジリエンスに欠かせない要素です。

いきなり大きな目標を掲げるのではなく、小さな目標を確実に達成することがカギです。

✔ 今日は10分だけ掃除をする
✔ 朝起きてすぐに水を飲む
✔ 昼休みに5分散歩する

こうした「できた!」の積み重ねが、自信を育て、困難な時にも「なんとかなる」と思える心の余裕につながっていきます。

3. ネガティブな思考を客観視する

嫌なことがあると、「どうして自分ばかり」「もうダメだ」といったネガティブな思考に陥りがちです。

そんなときは、頭の中にある感情を「書き出す」ことが有効です。

✔ 何に対して不安を感じているのか?
✔ 他にどんな見方があるか?
✔ これは本当に“今すぐ”解決すべき問題か?

書くことで思考が整理され、感情に飲み込まれずに冷静さを取り戻すことができます。

4. 自然や身体とのつながりを取り戻す

身体を動かすことや自然に触れることは、メンタルにとって非常に大切です。
朝の散歩、深呼吸、ストレッチなど、ほんの少しでも身体とのつながりを意識することで、ストレスホルモンが減り、心に余白が生まれます。

✔ 朝、ベランダで日光を浴びながらコーヒーを飲む
✔ 昼に3分だけでも空を見上げて深呼吸
✔ 寝る前に軽くストレッチ

こうした習慣は、心を自然な状態に整える手助けをしてくれます。

5. 物事の意味づけを変える(リフレーミング)

最後は、出来事の捉え方を変える力。

たとえば、「仕事でミスをした」ときに、「自分はダメだ」と捉えるのか、「今回のミスで次はもっと良くなる」と捉えるのかでは、その後の行動が大きく変わります。

リフレーミングのコツは、「別の角度から見たらどうだろう?」と自問すること。

視点を変えることで、ネガティブな出来事に意味を見出し、前向きな気持ちを持ち直せるようになります。

感情に振り回されない自分をつくる:感情のコントロール力を養う方法

突然ですが、こんな経験はありませんか?

・嫌なことがあって、その後の仕事が手につかなかった
・ちょっとした言葉に過剰に反応してしまった
・不安が頭から離れず、夜なかなか眠れなかった

私たちは日々、さまざまな感情とともに生きています。

そして、ときにその感情に振り回され、必要以上に疲れてしまうことも少なくありません。

でも、レジリエンスの高い人たちは、こうした感情に“支配される”のではなく、“うまく付き合っている”のです。

それは「感情を抑え込む」ことではなく、「感情に気づき、整える力」を身につけているということです。

感情のセルフコントロール力を高める4つのステップ

1. 感情にラベルを貼る:「今、自分は怒っている」と言語化する

感情に気づく第一歩は、それを言語化することです。

たとえば、仕事でミスを指摘されたとき、「なんかイライラするな」と思うだけで終わるのではなく、あえて「私は今、悔しさと怒りを感じている」とハッキリと言葉にしてみましょう。

心理学ではこれをエモーショナル・ラベリングと呼び、感情の言語化が脳の扁桃体(感情を司る部位)の過剰な反応を抑え、前頭前野(論理的思考をつかさどる部位)を活性化させるとされています。

言い換えれば、「感情を言葉にすることで、冷静になれる」のです。

2. マインドフルネスで“今ここ”に意識を戻す

不安や焦りは、たいてい「まだ起きていない未来」や「すでに終わった過去」に意識が向いているときに起こります。

そんなときに効果的なのが、マインドフルネス(今ここに意識を向ける習慣)です。

✔ 深呼吸に意識を向ける
✔ 今触れているものの感触に集中する
✔ 音や香りなど、五感で“今”を感じてみる

例えば、「1分間だけ呼吸に集中する」だけでもOK。

頭の中の雑音がスーッと引いて、感情が静まっていくのが分かるはずです。

3. 感情を書き出して“外に出す”

感情が高ぶっているとき、頭の中だけでグルグル考えてしまうのは逆効果。

そんなときは、紙に書き出してみましょう。

✔ 何が起きたのか?
✔ どんな感情が湧いているのか?
✔ なぜそう感じたのか?
✔ 自分に何をしてあげたいか?

こうして書くことで、自分の感情を外から見つめることができ、冷静さを取り戻せます。

まるで感情を“頭の外”に置くような感覚です。

この「書く」という行為は、カウンセリングやコーチングの現場でも広く活用されている、効果的なセルフケア方法です。

4. 一時停止ボタンを押す:「反応する前に止まる」習慣をつくる

感情にまかせて何かを言ってしまったり、行動してしまったりした経験は誰にでもあると思います。

そんなときにこそ役立つのが、「一時停止ボタン」の習慣です。

たとえば、怒りが湧いたときには、すぐに言い返すのではなく、

・3秒間、深く息を吸って吐く
・その場を一度離れてみる
・一言、「ちょっと考えさせてください」と伝える

こうすることで、感情の波に飲まれず、反応ではなく“選択”ができる状態に戻れます。

これはまさに、レジリエンスの核となる「状況を主体的にコントロールする力」でもあるんですよ!

逆境をチャンスに変える思考法:人生を前に進める“意味づけ”の力

人生には、思いがけない出来事や、自分の力ではどうしようもない困難がつきものです。

失敗や挫折、大切な人との別れ、計画通りにいかない現実。

それらは避けようとしても完全には避けられないものです。

でも、同じような逆境を経験しても、それをどう捉えるかによって、人の反応は大きく変わります。

落ち込んで動けなくなる人もいれば、そこから何かを学び取り、前よりも一歩強くなる人もいます。

この違いを生み出しているのが、「思考のスタイル」、つまりものごとの“意味づけ”の力です。

レジリエンスが高い人ほど、「出来事そのものよりも、それにどう向き合い、どんな意味を見出すか」に意識を向けています。

これは「ポジティブに考えよう」と無理に明るく振る舞うことではありません。

むしろ、目の前の現実をしっかりと受け止めたうえで、「じゃあ自分にできることは何か?」と問い直しながら進んでいく思考の力です。

心理学ではこの力を「リフレーミング」と呼びます。

リフレーミングとは、出来事の“枠組み(フレーム)”を変えて、別の視点から見直すこと。

現実の出来事は変えられなくても、それに与える意味や解釈は変えることができます。

たとえば、仕事で大きなミスをしたとき、「なんて自分はダメなんだ」と責めることもできれば、「この失敗があったからこそ、次に活かせる具体的な教訓を得られた」と捉えることもできます。

どちらの視点で見るかによって、自分への評価も、その後の行動も大きく変わっていきます。

リフレーミングを日常の中で実践するためには、いくつかの習慣が役に立ちます。

まず取り入れたいのは、「問いかけをする」という方法です。

出来事が起きたときに、ただ反射的に反応するのではなく、

  • この経験から何が学べるだろう?
  • 将来、この出来事はどう役に立つかもしれない?
  • 他の人だったら、どう受け止めるだろう?

といった問いを自分に投げかけることで、脳は自然と意味を探し始めます。

人は「答えを探す生き物」なので、問いかけが変われば、思考の流れも変わっていくんです。

また、自分がどんな「物語」を自分に語っているかに気づくことも重要です。

「自分はいつも失敗する」「努力しても報われない」といった無意識の思い込みは、実は過去の経験から作られたストーリーにすぎません。

このストーリーを書き換えることで、見える世界は変わってきます。

たとえば、「私はいつも失敗する」ではなく、「私は多くの経験を積んできたからこそ、気をつけるポイントがわかるようになった」と言い換えるだけで、自己イメージはずっと前向きになります。

「努力が報われない」ではなく、「私は努力する力をすでに持っている」と考えるだけで、これから先の行動に自信を持てるようになります。

さらにもう一歩踏み込んで、逆境を「他者のために活かす」という視点を持つことも、レジリエンスを大きく高めてくれます。

過去に苦しかった経験が、誰かに寄り添う力に変わる瞬間があります。

「あのときの自分の痛みがあったからこそ、今この人の気持ちがわかる」

「自分の体験が、誰かの役に立つかもしれない」

そう考えられるようになったとき、過去の出来事は「ただの苦しみ」ではなく、「自分の一部として受け入れられる経験」に変わっていきます。

レジリエンスとは、ただ前を向く強さではなく、過去の痛みや弱さも引き受けて、そのうえで前に進む力です。

もちろん、すぐにすべてを前向きに考えられるわけではありませんし、無理にそうする必要もありません。

大切なのは、「今起きている出来事に対して、自分なりにどんな意味を与えるか」という視点を持ち続けることです。

何かに直面したとき、「これは自分にとってどういう意味があるんだろう?」と問いかけてみてください。

それだけで、心の中にほんの少しの余白が生まれ、そこに前向きな解釈や新しい行動の選択肢が入り込むスペースが生まれます。

逆境はなくならない。

だけど、その逆境の「意味」は自分で決められる。

そんな視点を持てたとき、私たちは人生のどんな場面にも、ひとつの可能性を見出せるようになるのかもしれません。

継続するコツ:習慣化するための科学的アプローチ

レジリエンスを高めるための具体的な方法をいくつもご紹介してきました。

けれど、多くの人がぶつかる壁があります。

「やってみようと思っても、続かない」
「三日坊主になってしまう」
「効果が出る前にやめてしまう」

せっかく良い習慣を始めても、続けられなければ身になりません。

逆に、続けることさえできれば、どんなに小さなことでも確実にレジリエンスは鍛えられていきます。

ここでは、「習慣を続ける力」を育てるために、心理学・行動科学の研究から得られた“継続のコツ”を解説していきます。

小さすぎるくらいの「スタート」でOK

習慣化に失敗する最大の原因は、「最初から完璧を目指してしまうこと」です。

いきなり「毎朝30分瞑想する」「感謝日記を毎日3ページ書く」など、大きすぎる目標を掲げると、モチベーションが続かず挫折しやすくなります。

人間の脳は、新しいことを始めるのに強い抵抗を示す性質があります。

だからこそ、最初は“脳が抵抗を感じないくらい小さなステップ”から始めることが重要です。

たとえば:

  • 感謝日記:毎晩1つだけ「よかったこと」を書く
  • 呼吸法:1分だけ深呼吸する
  • リフレーミング:1日1回だけ「問いかけ」をする

このように「1分」「1つ」といった、負荷の少ない始め方こそが、習慣を続ける最大のコツです。

習慣は「トリガー」で決まる

行動科学の分野では、習慣とは「きっかけ(トリガー)」→「行動」→「報酬」のセットでできているとされています。

つまり、ただ「やるぞ!」と気合で始めるのではなく、「いつ・どこで・何をするか」を環境ごと設計することが大切です。

例えば:

  • 朝起きたら → カーテンを開ける → ベランダで深呼吸1分
  • 歯を磨いたら → ノートを開いて → 今日の感謝を1つ書く
  • 昼休みのあと → タイマーをセットして → 1分だけ目を閉じる

このように、すでにある習慣に「ひもづける」と、自然な流れで新しい習慣を挟み込むことができます。

これを「ハビット・スタッキング(習慣の積み重ね)」と呼び、実際に多くの人が継続に成功しています。

「やる気に頼らない仕組み」をつくる

私たちはつい、「モチベーションがあればできる」と考えがちですが、実は続けられるかどうかにモチベーションはほとんど関係ありません。

むしろ、「やる気がない日でも自然にできる仕組み」を持っている人ほど、行動を継続できるのです。

そのために有効なのが、以下のようなテクニックです:

  • 見える化する:習慣のチェックリストやカレンダーに記録をつける
  • 仲間と共有する:SNSや友人に「これを続ける」と宣言する
  • やった自分を褒める:続けられたら、自分に小さなご褒美を用意する

「自分を律する」のではなく、「やらざるを得ない状況を作る」こと。

これが継続の最大の味方です。

失敗しても「続いている」と考える

習慣化でつまずいたとき、多くの人が思ってしまうのが「もうダメだ」「またやめてしまった」という自己否定です。

でも、習慣は「完璧にやるもの」ではなく、「何度でも戻ってこれるもの」です。

大事なのは、多少の中断があっても、「続けようとしていること自体が継続」だという視点を持つこと。

たとえば、1週間できなかったら「また今日から再開すればいい」と考える。

1回でもやれたら「よくやった」と自分を肯定する。

このような「やわらかい継続意識」が、習慣を長く続ける土台になります。

継続は「才能」ではなく「設計」

継続できる人を見て「意志が強い」「自分とは違う」と思うかもしれません。

けれど、継続とは意志の問題ではなく、環境と行動設計の問題です。

少しでも始めやすくする
やる時間や場所を決める
誰かに伝えておく
できたことを記録する

こうした小さな工夫の積み重ねこそが、「三日坊主」を卒業し、長く習慣を続けるコツになります。

レジリエンスを高めるには、一度に何かを大きく変える必要はありません。

むしろ、日々の小さな行動を、コツコツと積み上げていくことが一番の近道です。

「やらなきゃ」ではなく、「できたらいいな」くらいの気持ちで、まずは一つ、今日から始めてみてください。

あなたのペースで育てた習慣が、きっとあなたを支えてくれる日です。

まとめ

レジリエンスは、特別な人だけが持つ才能ではありません。

日々の中でどんな思考を選び、どんな行動を積み重ねるか!

その積み重ねが、少しずつ「逆境に強い自分」をつくっていきます。

感謝の気持ちに目を向けること、感情を受け止めて整えること、出来事の意味づけを変えてみること。

どれも小さな習慣ですが、続けていくうちに、自分の内側にしっかりとした軸が育っていくのを感じられるはずです。

大切なのは、完璧を目指すのではなく、自分のペースで続けること

今日のあなたが、ほんの少しでも「できること」を始めることが、明日の自分を支えるレジリエンスにつながっていきます。

「逆境に強い自分」は、すでにあなたの中に育ち始めています。

さあ、今日からその一歩を踏み出してみましょう。

ではまた!!

 

 

 

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